2010/03/02

『妖怪ハンター 地の巻』諸星大二郎/著



 表紙の不気味な絵が気になって思わず購入した『妖怪ハンター 地の巻』。民俗学や宗教学などに興味を示す異端の学者、稗田礼次郎が摩訶不思議な事件を調査するというストーリー。諸星大二郎氏が、考古学や民俗にしっかり根付いた作品を描く方だということがわかった。これなら、『もののけ姫』を批判する古代史ファンも納得するだろう。



「地の巻」はプロローグを含んで全十話。特に傑作なのは「闇の客人(やみのまろうど)」。昔から貧しく、現在も財政が苦しい大鳥町は、町おこしのために、100年ほど昔に行われていた祭を復活させることになった。稗田は学者として文献を調べ、祭りの復活に協力をする。しかし、町は、観光客を呼ぶため、間違った祭祀を復活させてしまう。祭りによってやって来た「客人=カミ」は、恐ろしい鬼だった…。という筋の物語。ラストの見開き2ページが圧巻。

 他には、隠れキリシタンをテーマにした「生命の木」、闇にうごめく原始生命たちの復讐の物語「死人帰り」など。原始生命を闇の存在に位置づけているところは、少々違和感がある。しかし、日本的なコスモロジーの世界と、キリスト教的な二元論が共存しているところが何とも不思議な諸星大二郎の世界でした。

2 件のコメント:

  1. 色々な本を読みますね。
    体系的に位置づけられるなんて
    素晴らしいと思います。

    私は基本的に面白ければ良い!
    なので勉強になります。

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  2. >色々な本を読みますね。

    かなりオカルト系に偏ってますけどね(笑)

    諸星大二郎はハマる人は、ものすごくハマるみたいです。わたしは、なぜか今までそんなに読んでいなかったので新鮮でした。おすすめですよ。

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