2010/06/05

鉱物の世界


 先日、久しぶりに地質標本館に行ってきた。地質標本館とは、何千種類もの鉱物の標本が展示してある、石の博物館のような施設。石だけではく、化石もたくさん展示してある。前に標本館に行ったのは昨年の12月、巨石ハンターの須田郡司氏が講演会を開いたときだった。12月は建物のまわりの銀杏並木が黄色に染まって美しかった。6月は一転して、銀杏並木は鮮やかな緑になっていた。

 この日は、地質標本館名誉館長で理学博士の青木正博先生と、地質調査総合センター代表を務める加藤碵一先生にもお会いして、不思議な鉱物のお話も聞くことができた。たとえば、ある美しい青い鉱物は、ガスが固まってできたという。ガスが石になるなんて想像できない話だ。どうやってそんなことが起こるのかというと、火山が爆発したあと地中のマグマが固まるまでにかかる何百万年という歳月のなかで、鉱物が生成されていくのだという。他にも鉱物の種類によって、そこに生える植物が違ってくるというお話も興味深い。石も植物も生き物も、地球全体もつながっているのだ。

 鉱物は、何百万年何億年という、人間の時間感覚を超えた大きなスケールの時間のなかで生成されていく。青木先生は、鉱物がどんなふうにして生まれたか、そのディテールを理解することによって、人間が地球のなかのほんの一部であることが実感できるという。人間が人を超えた大いなる自然の中で生きていることを思うと、「人生が楽しく不安がない」というようなことをおっしゃっていた。この感覚こそ、今一番大事なものだと思う。

 鉱物の世界は、不思議と物語や絵を描く仕事にも通底している。物語や絵は、人が何千年にわたる自然の営みの上に成り立っていることを知るために存在している部分もあるからだ。神話や民間伝承などが、その典型的な例だ。
 じつは、3月に行った展覧会用に作った絵本『ルビイのせいれい』は、鉱物であるルビイから精霊が生まれるお話。どうやら昨年、地質標本館で見た摩訶不思議な鉱物が印象に残っていて、無意識に鉱物をモチーフに使ったらしい。鉱物って面白い。



 これは、お土産にいただいた「化石チョコレート」。本物の化石で型取りしたチョコです。つくばセンター駅のおみやげ屋さんでも売っています。399円。




 世界初の鉱物下敷き! 青木先生の自信作。



2 件のコメント:

  1. ガスから鉱物が出来るなんて初耳です!
    不思議ですね♪人間も自然の一部だし、共存というより
    再融合が必要なんではないでしょうか。

    人間は次元降下してエーテル体から肉体をもったと
    いう説がありますがまんざらでもない感じです。笑

    返信削除
  2. ガスが個体に変化という発想は、空想を超えていますよね。こういう理系の世界って突き詰めると凄いなと思います。

    >エーテル体から肉体をもったと
    いう説がありますがまんざらでもない感じです。笑

    ホント!

    返信削除