2009/10/02

絵本作家、仁科幸子さんの不思議な世界

 ある日のこと。知人の紹介で、絵本作家の仁科幸子さんにお会いすることになった。知人によると、仁科さんは山梨県にお住まいで、豊かな自然のなかで創作活動をされているという。ネットをみてみると、動物や花の精霊のかわいらしく美しい絵本がいっぱい出てきた。その絵を見た瞬間、お会いするのが楽しみになってきた。

 お会いしたのは、夜の新宿。仁科さんは、不思議な生命力にあふれていて、そこにいるだけでまわりの空気がぱっと明るくなるような方だった。もし、そばに花のつぼみがあったとしたら、つぼみがぱーっと開いてきそうな感じがした。夜の新宿のカフェにいることを忘れてしまいそうだった。仁科さんの絵本を読んで、不思議な空気の理由がわかった。



『はなのがっこう』は、花の精霊のおはなし。かわいい精霊たちが、一生懸命お花を育てる様子を描いた絵本だ。カバーの見返しには、こう書いてある。

はなが きれいに さくためには 
おひさまや あめや つちが ひつようです。
でも それだけでは ありません。
はなの おせわを する 
“はなの がっこうの こどもたち”が
どんなことを してくれているのか
おはなししましょう。

自然のなかに、目に見えない生命力がはたらいていることを、可愛らしい精霊がおしえてくれる。子どものころからこんな素敵な絵本を読んでいれば、きっと想像力豊かな人になるだろう。大人が読んでも、心のおくにある想像力が生き返ってきて、楽しい気分になれるはずだ。

『ハリネズミとちいさな おとなりさん1 なんにも しない いちにち』は、「ハリネズミ」と「ちいさな おとなりさん」のささやかな森の暮らしを描いた六つのお話。「ちいさな おとなりさん」とは、ハリネズミくんのお隣に住むリスのこと。この「ちいさな おとなりさん」という表現がかわいくてたまらない。くもを眺めたり、きいちごのジュースを飲んだりという、仲良しふたりの何気ない日常が、じつは、とてつもなく幸福である、ということがわかる絵本。



『よるが きらいな ふくろう』は、夜をこわがっている、ふくろうのお話。ある晩、そんなふくろうのもとに、「あそびにいこうよ」と美しいガがやってくる。ふくろうは、それから毎晩やってくるガに、次第の心を開いていく。最後はどうなるのかは、読んでのお楽しみ。

『白い月の笑う夜』は、キツネが住む小さな島の物語。この島には、五色のキツネが住んでいた。それぞれのキツネたちは仲良く暮らしていたが、ある問題をかかえていた。そんなキツネたちは、あるしきたりを守っていた。それは、月に一度、満月の夜に行われるという……。色とりどりの美しいキツネたちが暮らす不思議な島の物語。五色のキツネがそれぞれの文化をもっている姿は、動物を人間の下と思わず、人間と同じぐらい賢く神聖なものと思っていた古代人たちがみた世界のように思える。同時に、人間社会の批評の要素もある。ダイナミックな絵がすばらしい、奥深い作品。

 みなさんも、ぜひ読んでみてください。

2 件のコメント:

  1. かわいい絵本の紹介ありがとうございます。
    どれも子供たちが想像力豊かになりそうですね。
    私の幼少時は本ばかり読んで過ごしていましたので
    その時そんな本があったらなァなんて思ってしまいます。
    子供がいたら読ませたい本ですね。

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  2. 本当に素敵な絵本なので、おすすめですよ。

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