
FBIで遠隔透視者として働いていたというマクモニーグル氏が、遠隔透視について語った本。氏はテレビで有名になったのでご存知の方も多いと思う。遠隔透視とは、言うまでもなく、遠く離れた場所や物を透視すること。懐疑論者は後を絶たないが、透視ができると主張し、見えたモノが的中する人が存在することも事実だ。
この本は、透視実験の様子をマクモニーグル氏の視座でスケッチしたものだ。たとえば、透視目標がどんな風に見えるのか、能力がアップするに従ってどんなことが起こるのか、といったことについて、マクモニーグル氏が感じたことが率直に述べられている。氏によると、透視目標は「空想」ではなく、情報が飛び込んでくるように見えてくるらしい。心の扉が開き、「別のリアリティ」を体験している感じなのだという。
面白いのは、透視実験の様子が、作品を描くときにアイデアが浮かんでくる様子とひじょうによく似ていることだ。わたしの感覚だと、アイデアはぼんやりとした空想ぐらいではダメで、はっきりと絵や言葉になるぐらいの勢いがあると、ようやく形になる。遠隔透視は深い変性意識状態で見るビジョンなので、創作とも若干かぶる部分があるのだろう。
マクモニーグル氏は、1970年に臨死体験を経験したという。どうやら氏は、臨死体験をきっかけに「心の扉」が開き、能力を発揮するようになったらしい。氏が、この能力を心の機能の一つと考え、何かを探したりする際の「道具のひとつ」として捉えているところは共感できる。
遠隔透視のような別のリアリティを体験する能力は「チャネリング」とも紙一重なわけだが、「心の扉を開くと人生が上手くいく云々」といってチャネリングの訓練などするセミナーやヒーラーには要注意だ。人生は、心の扉が開いたからといって、どうなるものでもない。それとこれとは別であることをちゃんと理解すれば、不思議な世界をむやみに否定せず、楽しむことができると思う。