2011/02/22

今読んでいる本



 本が好きで、いつも何冊も同時進行で読んでしまう。まだ積ん読本もあるのに、新しい本を見つけると買ってしまう。だから常に読みかけの本でいっぱい。同時進行で読んでいる本を全部読み終わるまで、少々時間がかかるので、今、たまたま読んでいる本や最近読み終わった本などを書いてみる。



『一神教の闇—アニミズムの復権』安田喜憲・著(ちくま新書)

 読了。東南アジアやバリ、中国の先住民、日本列島の縄文人など、漁撈採集や稲作を営む母系&アニミズム信仰圏の人たちは、地球を破壊せず戦争も起こさず、幸せに暮らすことができることを環境考古学の視座から捉えた本。つまり名草戸畔(なぐさとべ)のような古代人の文化、価値観がいかに大切か、という内容。このまま放っておくと、地球はあと四十年ぐらいで温暖化が激しく進みメチャメチャになり、資源は枯渇し、人間は住めなくなるらしい。そうなる前に、アニミズムの復権を求める一冊。
 しかし、この本を読むと、キリスト教やイスラム教などの一神教文化圏の人たちは、本当にアニミズムを理解できないらしいことがわかって驚愕した。アイルランドの日本研究者ですら、先住民の信仰を野蛮と考えているらしい。そういえば、わたしも以前、岩田慶治が調査したピー信仰の話をしたところ、「ピー信仰とはスピリチュアルか?」と言われたことがあった。この場合スピリチュアルとは、悪い意味でオカルトっぽい意味合いが含まれている印象があった。ピー信仰とは簡単に言うと、タイやラオスに根付いている土着のアニムズム信仰のことだ。タイやラオスの人たちは、山や川や海や空気などありとあらゆる自然物にピーという精霊が宿ると信じている。日本人が昔から八百万の神を自然に感じてきたのと同じように、誰もがそういうものが存在することを感じる感受性を普通にもっていると思う。特にオウム事件以降、スピリチュアル=オカルト的でうさんくさいものと解釈するしたい気持ちも分からないでもないが、それは本質ではない。著者の安田氏の怒りの根源も、そういったところにあるのではないだろうか。

『火の起源の神話』J.G.フレイザー・著
 ほぼ読了。人間が火を手にするまでを描いた先住民の神話を集めた本。オーストラリア、ポリネシア、ミクロネシア、インドネシア、アメリカ大陸など。火は石や木の中に入っていると考える素朴な感性が素敵。




『中国の神話 天地を分けた巨人』君島久子・著(筑摩書房)
 途中。かの有名な、天地を分けた巨人盤古など、中国の豊かな神話。

『日本「国つ神」情念史 清姫は語る』津名道代・著(文理閣)
 途中。紀州の清姫伝説に、縄文の昔から、金属精錬の技を生かして自然と共に暮らしていた山の民の巫女的女王の面影を追いかけた一冊。銅鐸民を物部の文化(渡来人による文化)と考える歴史観とは大きく違う。わたしも鉄は更に古い出雲族の時代からあったと思う。縄文、鉄、修験を調べている人にはマストの一冊。

『幻想説話学』清田圭一・著(平河出版社)
積ん読本。読むのが楽しみ。

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