2011/01/14

古老の伝承03

 谷川健一氏が「荒田神社」の番をしている老人から聞いたという話は、土地で語り継がれてきたものらしい。奈良時代初期に編纂されたという『播磨国風土記』がこれを採集して作られたのだとしたら、昔「荒田神社」近くに住んでいたという姥神は、道主日女命の子孫なのだろうか。
 この道主日女命は、海部家の『勘注系図』や『丹後国風土記』(残欠)に登場する天道日女命と名前がよく似ているのが気になる。天道日女命は、丹後国で天火明命(あめのほあかりのみこと=ニギハヤヒ)の妃となった人物。『勘注系図』によると、天道日女命は「オオナムチの女」とあるのでオオクニヌシ(先住出雲族)の出身らしい。子は天香語山命(あめのかごやまのみこと)だ。(註:『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』には収まらなかったが、カゴヤマは出雲・紀国の五十猛(いたける)と同一人物との説もある。出雲族の姫とニギハヤヒの子であるところは、確かに同じイタケルと同じだ。)
 もし道主日女命と天道日女命が同一人物か、あるいは同じ一族であれば、「荒田神社」の姥神は、古代の王族の遠い子孫なのだろうか。だとしたら面白い。古代のロマンは現代にも息づいている。

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