2011/01/20

地域の伝承01

『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』を出版してから、「自分の出身地の伝承を調べてみたい」という反応をいただくようになった。読者の方は、名草戸畔(なぐさとべ)伝承が和歌山市と海南市で生まれ育った小薮繁喜氏と小野田寛郎氏によって守られてきた経緯や和歌山の歴史を知ることによって、自分が暮らした土地に興味がわいたようだった。
 この本の原稿を持って出版社を回っていたとき、一番懸念されたのは、名草戸畔伝承が狭い地域に限定されたものであるため、他の地域に住む人たちが共感できるのか、ということだった。大和王権の成立を主題にして、その中に名草戸畔を絡めた方がいいという指摘もよくいただいた。しかし、王権を主題にした本は山のようにある。ローカルな伝承であることに開き直り、ストレートに名草戸畔を描くべきと考え、結局わがままにその主旨を貫いてしまった。ところが、実際に本を世に出してみると、読者は名草戸畔伝承を通じて、自分の故郷や自分の祖先のルーツに思いを寄せたり、全国によく似た伝承があることに気がついたのだった。ローカルな伝承を突き詰めたことで、かえって全国に繋がったのだ。大和王権を中心とした平均的な歴史を描いたら、むしろ誰の興味を惹かない内容になってしまったかもしれない。
「名草戸畔顛末記」(リアル書籍と電子書籍のみ収録)で、兵庫県の「馬止神社」の貴重な資料を提供していただいたYさんからも、面白い話を聞いた。なんとYさんの住む町には、南北朝時代から口伝で語り継がれてきた物語があるという。続きは明日。

2 件のコメント:

  1. 本の反応は世に出してみないと
    わからないものですね。出版社の
    予想を超えて全国で反応があるって
    何かのキーを入れた感じですね。

    私も早く読まないと…^^;

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  2. 本当に想像以上の反響で
    驚いています。
    ゆっくり読んで下さいね。

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